|
休眠?それとも乾燥死?種子にも寿命がある
四千年も前の植物の種子が発見され、それを植えてみたら休眠状態が解除され発芽したというニュースを聞いたことがあります。こんな驚きのニュースを耳にすると、植物の種は永久に休眠できて、条件さえ整えば発芽できると思ってしまいます。確かに何千年の眠りから運良く目覚めることの出来た種子もあるのでしょう。しかしそれは非常に稀なケースだと思います。
樹木の種子について調べている人の話を聞くと、種にも寿命というものがあるそうです。
一般的な話をします。
樹木の種子は、水分がある程度抜けると、休眠状態に入ります。そしてこの休眠か目覚めるためには、何らかの刺激が必要です。
しかし、すべての樹種の種が休眠できるわけではありません。乾燥すると休眠するのではなく、そのまま死んでしまうものもあります。ドングリ類はほとんどそうです。ですから、クヌギ、コナラ、カシ類、スダジイ、マテバシイなどのシイ類、おそらくはブナなども休眠ではなく、死んでしまうと思います。運よく動物によって土中に埋められたとしても、発芽できなければ、生存できる期間は1〜2年というところでしょう。ドングリは、この弱点を補うために、樹から落下すると秋のうちに発根させて生き延びようとしているわけです。ドングリ類とは別に、エゴノキの種子も一旦乾燥させると、発芽はしません。ですから種を採ったらすぐ蒔く「採り蒔き」をします。
ドングリとは対照的に、長い間休眠できる種もあります。
ミズキなどがそうです。ミズキは土の中に埋まっていれば、10年以上発芽能力があるそうです。このように土中で生きたまま休眠できる種を「埋土種子」と呼ぶそうです。埋土種子の寿命は長いもので20年以上だそうです。シラカンバ、ダケカンバ、ハンノキ、ナナカマド、ウダイカンバ、ヤマイチゴ、タラ、ヌルデなどにこのような能力があります。いずれも種子は小さいく、一般的に、種子が大きいと、その中に栄養が沢山蓄えられているので、発芽力は大きくなりますが、種子としての寿命は短くなります。逆に種が小さいと、発芽能力は小さいですが、乾燥にも良く耐え長い間休眠状態を保つことが出来るのです。
ただ、冒頭で紹介した四千年前の種子の発芽の場合、樹種はアラカシのドングリで、普通は1〜2年の寿命しかないと言われているものですから、その生命の神秘は誰にも分からないのです。
古い資料ですが、1950年に小沢先生が発表している埋土種子の寿命がネット上に公開されていたので紹介しておきます。
寿命 |
樹種 |
1年以内 |
アカマツ、カラマツ、ヒメコマツ、エゾマツ、モミ、タラノキ、イヌツゲ、ヒサカキ、アブラチャン、ムラサキシキブ、サワグルミ、ヤマハンノキ、シロダモ、ミヤマザクラ |
2〜3年 |
ナギ、ウリカエデ、ガマズミ、ムクロジ、サンザシ、コシアブラ、ケヤキ、シラカシ、アカガシ |
4〜5年 |
ウルシ、ヤマモミジ、ヤチダモ |
6〜7年 |
アブラギリ、スダジイ、クサギ、ヤマボウシ、ミツバウツギ |
8〜9年 |
クスノキ、オニグルミ |
10年以上 |
センダン、ヒメグルミ、イイギリ、ミズキ、カラスザンショウ、キハダ、イヌガヤ、ハンテンボク、ゴンズイ、マルバノキ、ナツツバキ |
20年以上 |
アカメガシワ、ホオノキ、クズ、ニセアカシア、ヌルデ、エゴノキ、ハクウンボク、イヌザンショウ |
おすすめ樹種
|
発芽しやすく、その後の管理もしやすい樹種です |
・ハナミズキ |
|
|
商品名:ハナミズキ
数量:20粒
価格:240円
在庫:10 |
|
|
|